その上品な出立と、また革新的でありながら伝統的なスタイルで、イギリスを代表する高級ブランド”ダンヒル”。
扱うのはスーツやタバコなどが有名で、現在も世の紳士に愛用され続けています。

“ダンヒル”は、1880年にロンドンで創業されました。
当時は主に馬具を製造し、販売するメーカーであり、ファッションは扱っていませんでした。
ファッションブランドとして本格的にスタートしたのは1893年。
創業者である父から家業を受け継いだ”アルフレッド・ダンヒル”の手腕によって、数多くの商品を取り扱うように変わりました。

時代は経済成長の真っ只中であり、多くの発明や、また生活様式、様々な文化形態が取り沙汰され、特に先進国として世界のトップ集団を形成していたイギリスでは、日毎に新たな話題が上っていました。

そんな中、自動車の普及拡大に目を付けたアルフレッドは、自動車関連の商品を多く取り扱うことに決めました。
これは後にダンヒルのコンセプトである”モートリティーズ”というワードにつながります。
モートリティーズとは”自動車”と”権威”という意味を合わせた造語であり、ダンヒルはファッションブランドであると同時に、自動車関連商品のメーカーであるという意味にも現在はなっています。

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1903年、ダンヒルはすでに店舗を持っていましたが、この年、ロンドンのデュークストリートに店舗を開店。ヘッドライト、ゴーグルなどの自動車アクセサリーや、推奨するカートラベルウェアなどで多くのファンを獲得します。
また、スイス製ムーブメントを採用したダッシュボード時計や、違反を取り締まるポリスマン用ゴーグル、特許も取得した防水タバコなど、アルフレッドのアイデアやその行動力によって実現し、ヒットした商品は数知れず。
ダンヒルの名はイギリスだけでなく世界中で知られることとなりました。

ダンヒルといえば、やはりメンズスーツやタキシードを思い浮かべる人がほとんどでしょう。
今では、アルフレッドの家族により事業は継承され、主にメンズファッションを扱う高級ブランドとして名を馳せていますが、その土台には、創業者(厳密には2代目)のアルフレッドが時代と共に民衆の支持を集め続けた功績があり、”モートリティーズ”の精神があるのです。

そして、現在ではブランドはスイスの企業グループ”リシュモン”のひとつとして、”カルティエ”や”ラルフ・ローレン”などと共に、変わらず世界に先進的なファッション、また総合スタイルを発信し続けています。