伝統あるファッションブランドを多く輩出するフランスにおいて、”ミュグレー”は比較的新しいブランドです。

 

創設者であり、デザイナーとしても活躍する”ティエリー・ミュグレー”は、1948年フランスに生まれました。

10代の頃からファッションに興味を持ち、服を作ることが好きだった彼ですが、学業では美術を学び、様々な芸術に興味を持っていました。

その後はオペラダンサー、カメラマンとしても従事し、服飾製作を本業とはせず、生計を立てていたといわれています。

 

本格的にデザインを始めたのは二十歳頃で、フリーデザイナーとしていくつかのコレクションを発表。

この頃は、同名ブランドのデザイナー”アズディン・アライア”の協力もあったといわれています。

 

1974年にはブランド”ティエリー・ミュグレー”を設立。

ストリートファッションを取り入れたデザインや、肩幅をたっぷりと広げた”ワイドショルダー”などで、80年代頃のスタンダードとされます。

日本でも流行したボディコンも、ミュグレーや当時のフランスのトレンドを取り入れたスタイルだったといえるでしょう。

 

90年代頃になると、時代の変化に馴染めず、ミュグレーのファッションは鳴りを潜めます。

2003年にはオートクチュールのラインが停止し、一部のプレタポルテを残すのみとなりました。

ですがブランドはその当時、同じくフランスのコスメブランド”クラランス”に買収されていて、化粧品やパーヒュームなどの生産に力を入れ、香水”エンジェル”は今なお人気です。

 

“ティエリー・ミュグレー”は元来よりファッションのみに情熱を注ぐタイプではなく、ファッションを一つのアートとしてとらえる総合芸術家です。

そのため、ミュグレーのショーはバラエティに富んでいて、モデルの起用や音楽、映像においても奇抜なアイデアが多く見られたといわれています。

 

そして2011年には、ファッションブランドとして再起を賭け、”ニコラ・フォルミケッティ”をデザイナーに迎えました。

2013年には”デヴィット・コーマ”がアーティスティックディレクターに就任。

自身のブランドも持つ彼女によって、シックながらウェストの絞られた美しいラインのコレクションを多く発表。

現在では、人気のコスメだけでなく、ファッションブランドとしても第一線で活躍し続けています。

 

Image Credit: Dave Lackie
http://davelackie.com/thierry-mugler/