“アメリカン・ルック”という言葉をご存知でしょうか。
その名の通り、アメリカで作り、アメリカらしさを追求したファッションの独立スタイルのことです。
大戦時、当時アメリカでも主流だったフランスのファッショントレンドがストップし、アメリカは国を挙げて、自国ファッションスタイルの確立へと乗り出したのです。
アメリカ人のデザイナー、アメリカでの生産、そしてアメリカ独自のスタイルの追求、”アメリカン・ルック”と呼ばれたそのキャンペーンの中心にいたのが、デザイナー”クレア・マッカーデル”でした。

 

クレアは1905年、アメリカのメリーランド州で生まれました。
学生時代よりファッションに興味を持ち、パリへ留学。
卒業後はファッション業界へと飛び込みますが、当時のアメリカはパリのファッションをコピーし、ただ真似るだけの世界でした。
そんな最中、世界大戦が起こり、パリからのファッショントレンドは世界へ流通されなくなってしまいます。
クレアは1940年に自身の名を冠したブランド”クレア・マッカーデル”を設立。
デザイナーが名前をブランド名にすることは、今や世界では当たり前ですが、当時のアメリカでは前述したように独自のセンスを持つデザイナーは少なく、とても珍しいことでした。
そして、前述したように、”アメリカン・ルック”キャンペーンの中心として、クレアは活躍。
アメリカらしい、機能的でカジュアル、そしてリーズナブルな既製服は、狙い通りアメリカンファッションの先駆けとなったのでした。

クレアは1958年、癌によって短い生涯を閉じます。
生前は、デザインだけでなく、モデルとしても舞台に立った彼女。
現在でもその功績は称えられ、アメリカンファッション業界で殿堂入りを果たしています。
世界のファッショントレンドは、やはりイタリアとフランスが二分しているというイメージですが、クレアのように自国らしさを取り上げるデザイナーがいたからこそ、今日のアメリカンカジュアルファッションが存在するといっても過言ではないでしょう。

Image Credit:Q’sdaydream、VOGUE encyclo

http://qsdaydream.blogspot.jp/2011/08/inspiration-friday-claire-mc-cardell.html
http://www.vogue.it/en/news/encyclo/designers/m/claire-mccardell-