“ロンシャン”ほど、時代によってその形を変え、常に人々を魅了し続けたブランドはないのではないでしょうか。

 

”ロンシャン”は、1948年、”ジャン・キャスグラン”によって創られました。

ブランドは当初、パイプを製作するメーカーであり、いわゆるファッションブランドではなかったのです。

しかし第二次世界大戦後、レザー張りを施したパイプが人気となったのがきっかけとなり、次第にレザー加工にも着手するようになります。

 

それからの時代背景は誰もが知る通り、経済成長、貧富の差は減り、多く存在したハイブランドも徐々にですが中間層向けのファッション製作に取り組むようになるのです。

“ロンシャン”もまた、レザーを中心としたファッションアイテムを多く作り、人気を得るようになります。

高い品質を保ちながら、リーズナブルな提供を可能にしたのは、”ジャン・キャスグラン”の手腕という以外には理由はないでしょう。

 

1970代には初めて、女性向けアイテムの製作に乗り出します。

またこの頃、息子である”フィリップ・キャスグラン”も事業に参画し、国外は東南アジアへの進出に目を付け、欧州ブランドのアジア進出の先駆けとなりました。

 

ナイロン製のバッグを作ったのは”ロンシャン”が初といわれており、その手軽さから高い人気を得ます。

”ロンシャン”といえば”ル・プリアージュ”シリーズが最も有名ですが、これの前進となったモデルが、当時のナイロンバッグです。

“ル・プリアージュ”とは「折りたたむ」という意味があり、スーツケースやより大きなバッグにしまうことも出来る他、ナイロン素材であるために傷みに強いという特徴もあり、常に世の女性達に愛されてきました。

 

現代では数多くのブランドが統合や合併をし、存続を狙うする中、“ロンシャン”は家族経営で独立性を保っています。

息子であるフィリップがCEOを務め、創立者のジャンは経営責任者として今も事業を支える、稀有なブランドの一つなのです。