その名を全く聞いたことのない方は、もはやいないでしょう。
世界でも指折りのクオリティとセンスを持つブランド”エルメス”を代表する製品であり、予約から数年待ちの物まである人気のバッグ”バーキン”。
“バーキン”だけのコレクターまでいるほど、そのブランド力は本物で、高級感あふれるデザインが高い評価を得ています。

 

さて、“バーキン”の誕生には有名な逸話があります。

1984年のこと、エルメスの”ジャン=ルイ・デュマ・エルメス”が航空機内で偶然、イギリスの人気歌手”ジェーン・バーキン”と隣になり、彼女が古いバッグを使用していたことから、ぜひバッグを作らせてほしいと申し出たといわれています。
またその時、”ジェーン・バーキン”は相手があの”エルメス”の代表だとは知らなかったといわれ、正に出会いは運命的なものでした。
そうして、エルメスがジェーンに送ったバッグが最初の”バーキン”です。
そのエレガントなデザインは、”ジェーン・バーキン”が持つことでより一層輝きを増し、瞬く間に世界中の女性の憧れの的となりました。


Jane Birkin-1971

また、ジェーンのバッグの使用感が不便に見えたともいわれており、だからこそ”バーキン”はたっぷりとした収納、ポケットなど多用され、使い心地も重視されています。
「何でも入れられるバッグ」とも謳われ、あまりの高級感に躊躇しがちですが、バッグというものの本来の用途に沿った、ある意味で自然な製品ともいえるでしょう。

そして、”バーキン”のデザインは元々、エルメスの”オータクロア”という旅行鞄から派生したものであり、現在でも作られていますがデザインは非常に似たものもあります。
余談ですが、エルメスのもう一つ有名な”ケリーバッグ”は、”オータクロア”を小ぶりにしたバッグ”サック・ア・クロア”を改良して作られたもの。
そのため”バーキン”と”ケリー”はそのサイズと用途に特徴があるのです。

素材は、定番の牛革から、クロコダイル、リザードまで、様々な皮革が使用されています。
中でもクロコダイル製のものは数あるブランドバッグの中でも最高級とされており、”バーキン”といえばクロコダイル製のバッグを思い浮かべる人も多いでしょう。

正に至高の贅沢ともいえる”バーキン”。
その誕生は、何でもない日常の、ワンシーンから始まりました。

運命は紡がれ、”ジェーン・バーキン”の歌声と共に、エルメスのバッグ”バーキン”もまた、いつまでも人々に愛され続けてゆくことでしょう。

 

Image Credit: pleasurephotoroom
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